FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

恋のinformed consent53

フェイト先生。
多分、温敦の予想では、後2話で終わりです。
長かったなぁ…

この作品、楽しみにしていた方々に申し訳ないなぁって思います。
やっと完結出来る!!

フェイト先生。もう直ぐ最終回です。もう少しだけ、お付き合い下さいな。












『恋のinformed consent53』








「なっ…」

「アリサ。君が私みたいになってはいけない、立ち直るのは一人で十分。そうでしょ?」

「えっ?な…に…言って…。フェイト?」

「そうだよね?アリサ」






思いがけない言葉に、いまいち理解が出来ないアリサは、フェイトが更に言った一言で頭が真っ白になる。








「執刀、変わります。理事長が執刀。助手は私、ハラオウンが勤めますので。
高町さんは引き続き私の器械出しへ。
月村さん。理事長の横にあるメーヨー台。もう少し奥に押してもらえるかな?
私の手が届くように。理事長に渡す器械も私が引き受けるから。なのはは…解るよね?」


「はい、フェイト先生。アリサ先生に渡す器械は、このメーヨー台に置けば良いんだよね?」


「八神先生。私は、先までのようにモニターは見れなくなると思います。だから全部任せるよ。
前に貰ったファイルに低温時に関する麻酔も入っていたよね?読んでいたら解るはずだ」



「えっ?」




アリサだけではなく、はやても軽く慌てていた。


「なんっ。フェイトちゃん!!無茶や!!」








「え?え?あたしが…し…とう…?」



「アリサ!良く見て、アリサ。術野を。もっと上だ。解るよね?」


「え?―――ぁ」



頭が真っ白になったまま、状況を把握出来ていないアリサにかけるフェイトの大声で、
ハッと我に返ったアリサは恐る恐る長い筋鉤を入れ込み、そっと左手で皮膚ごと持ち上げる。
そこには相変わらず、ゆっくりと拍動していて、更にその拍動している物が座滅していた。




「どう…みゃく…」


「そう、動脈。アリサ達が探しきれなかったのも無理ないよ。動脈交差。
奇形なんだねこの子。静脈と動脈が交差して入れ替わっている。本来あるべき場所になかったんだ。
アリサ。座滅しているんだ、この血管に糸をかけて吊り上げたら切れちゃう。
静脈じゃない動脈なんだよ。それは。そこが殺傷部位」






「あ……。あ…。」



もう少しで取り返しの付かない事になっていた事態に体が反応し、いきなり震えだした両手から
その筋鉤が滑り落ちて、床にカチャンとなる音が手術室に木霊する。




「でき…ない…。出来ないわよ!行き成りそんな事!大体、何で!
あ、あたしは、フェイトを助ける為に!あたしが助けられたら意味無いじゃない!意味なんて…」



「アリサ!しっかりして!アリサ!」


「―っ!」




「アリサ、良い?良く聞いて。アリサの気持ちも解るし、ありがたいと思っている。
だからね、私は助けられる事にしたんだよ」



「……助け…られる?」



「そう、助けられる。私が、大学病院から席を抜いて、君達二人が必死になって長い間探していた事も解るし、見つかってからも何回も、何回も、遠い日本に足を運んで説得し続けた事もね。
医療の裏側を自分の親族にやられて、それで激しく幻滅した。
何より自分自身にとても怒りを感じたんだ。助けられなかった…。それ所か内容さえ知らされずに、のほほんとしていた馬鹿な自分に」




「………」




「だけどね、うすうす解ってもいたんだよ。技術磨いた。経験もつんできた。知識だって…。
禁忌と言われているような内容の本さえ入手した。明らかに人体実験をしただろうとか、
証拠の出ないような完全殺人や、保険金目当ての他殺に見せかけた自殺なんてのの写図とか
腐るほど載っている本もね。
興味がある物は現物も見てきたよ。警察や、はては裏の組織まで直談判して」




「………」




「それもこれこもね、殺す為じゃない。どうやったら助けられるか。
薬で少しずつ殺人を犯したって、最終的な死因が解ればそこから遡って過程が解るかも知れない。
心臓発作が死因なら血圧や心電図がおかしかったはずだって。
そしたらこの薬物に対する対処法がわかるはずだって。
どれだけで死んだのかなんて聞いて、実際その半期間だけとかで自分自身に投薬したりも」



「そんな事してたの?フェイトちゃん…」


吃驚したような、なのはの表情に、申し訳ないようなそれでいて悪戯が見つかったような、微妙な苦笑いをチラッと向けた後、フェイトは又アリサに顔を向ける。



「解っていたんだよ、アリサ。そんな事したって、実際、胃洗浄や緊急性に伴うような手術や処置なんて、大きい病院でしか出来ないんだ。
救急車はクリニックになんて搬送しない。そしてそんな大手術なんて一人で出来ないって。

クリニックで異常だと疑った患者さんは総合病院に紹介するんだって。
私が見ている患者は私が他のドクターに紹介して、助けてもらって…。
そして、そして私の所に戻ってくるんだって……」




「フェイト…」




「だからね、最初に私を尋ねて来た時に…。本当は嬉しかったんだ。
急に席を抜いたんだ。当然受け持っていた講義もすっぽかした。
あの当時、習っていた生徒は、最後まで講義出来ていないんだよ。

そんな何もかもが中途半端な私に、こうやって慕ってくれて探してきてくれた生徒がいるんだなって。
それで無理だって頑なに拒んでいた私を何度も何度も訪ねてきてくれた。
言わなかったけど、知っていたんでしょ?私がなんで辞めたか」



「そ、それは…」




「責めるなんて事はしないよ。引き抜くドクターの経歴を調べるのは常識。
それにアリサ達は最初から私を追いかけていた。引き抜くドクターは誰にしようか?ではなくて、引き抜くなら私だってね。
学生の頃から最終の夢があったよね?自院開設って。それにはやても便乗してた。
開設するにはどれだけの経験と、そして穏便に大学から席を抜くにはどうしたら良いかとか、最初からチームに入った方が良いのかとか色々と聞いてたじゃない?
免許とって、取りあえずやりたい科へ進むじゃなく。そんな子達だ。
君達の事はとても印象に残っていた」





相変わらず、穏やかな表情で、それでいて瞳の中の光は片時も曇さずに、フェイトはアリサとはやての両方に顔を向けながら話し続ける。




「だからね、嬉しかったんだよ…。とても、とてもね…」




「ハラオウン教授…」


「フェイトせんせー…」




ニコリと笑うフェイトに思わず学生時代に呼称していた言葉を発しながら佇む二人に、
フェイトは頭を下げた。





「だから、助けられる。二人にしか出来ないんだ。私はね、ちっぽけで何も出来なくて、
グダグダと悩んだりして…。


呼んでもらったのに、ワガママ言って、専門も婦人科にしてもらって…。
無茶なオペシフトやシステムも組んでもらって。なのはを手に入れる事だって黙認してもらった。
そのなのはに叱られて、発破掛けられて、引き上げてもらって、ようやく此処まで来れたと思っている。
でもまだ完全じゃない。
なのはは大丈夫だって言ってくれた。
私も、コンディションは完璧だって思っている。
だから完全になる。


あの時の患者を助ける。皆で助けるんだって頃の私に……。




私の…。私の最後の生徒になってくれないかな?」








「「それって…」」


「あの教授みたいにはならないし、あの時の私みたいな事は起こさせないって約束する。
だから、サポートさせて欲しい。アリサに、今、私が出来る、精一杯の手腕を叩き込む。
アリサ、私じゃない。君が助けるんだ」




「教授…」




「はやて、君もだ。君がコントロールするんだ。解らない事があればどんどん聞いて。
あのファイル、私のメモもすべて読んで記憶していたなら聞かなくてもコントロールできると私は踏んでる。そうでしょ?」





「フェイトせんせー…」








此処まで言われて出来ないアリサではない。コンディション完璧。あの時みたいな事は無い。
それって絶頂期の教授じゃない。何が完全じゃない…。わよ。とアリサは軽くため息を吐く。



長く掛かるだろうなと思っていた。それ所か、もう教えてもらえる事は無いだろうとも。
ハラオウン教授は昔からとても謙虚な人物像だって印象付いてる。

最初に赴任した時だってアリサに対してジェネラリストって発言してるし、それは本心からだってアリサも思っていた。


だからもう一人前だって、後は一人ででも精進できるって。
それは教え子が教えて欲しいって言っても、駄目だなんて上から目線の発言ではなく、
本当にフェイト自身は、自分は教えるものは無いんだよなんて思っているから…。



だけど、教える事は好きだから。
だから知識としての本や勉強したノートブックなんてのは幾らでも惜しみなくばら撒く。



技術は無いに等しい。幾らでも勉強する事があるから。フェイト自身勉強中なんだ。
だから昼間のなのはとの小切開のオペだって目で見て盗める物はって言うやり方だ。
後からのミーティングは全く無い。質問すら受け付けないのだ。


アリサは知っていた。それが、驕りからでは無く、本当に自分の方が新米だからって思っているから。私から盗むのなんて無いはずだからって。


同じように傍で助手として目で見て盗んで行くんだろうって。
それで、アリサのやり方に、その方が良いね。なんて一歩引かれるんだろうって。


だってよほどの、全世界の誰が見ても、フェイトじゃなきゃ駄目だって言う患者じゃなければ、
アリサだって手術できる手腕は持っているのだから。



だから、もう一生こうやって、サポートされるだけではなく、口や手も出してくるなんて発言は無いと思っていた。



それに、講義じゃなく、実習は違う講師である。フェイトのオペなんてあのオペが最初で、
それからコソコソと二人で盗み見たものと合わせてすべて見学なのだ。



しかも、それで助けられるんだ。なんて言われたら…。




「ふん、や、やって遣るわよ!見てなさい!この、アリサ・バニングス。
只では起きないわよ!すずか!汗拭いて!汗で目がぼやけてるわ!」


「フフ。はい。解りました」




震えた両手を軽く握り締め、アリサは深く息を吸った。




関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

なうなう!
カレンダー(月別)
03 ≪│2019/04│≫ 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
プロフィール

温敦(おんとん)

Author:温敦(おんとん)
基本なのフェイなのすきー
SSは百合確立100%!無理な方は戻るボタンで戻ってーー

でも、素人かつ文才が無いので、SSは出来るのか不安・・・
リンクフリーです。一言頂ければ張り返しに伺いまっせ。

ポチると恥ずかしさの余り赤面します
最新記事
カテゴリー(選択したカテゴリーに飛びます)
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター
日本語→英語自動翻訳【星条旗】
English English得袋.com
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。